2015/03/17

地元ガールが案内する、知られざる美食と路地裏散策 Ternで行くオトナの女子旅 自転車の聖地「しまなみ海道」〜 坂の街「尾道」編


広島市と岡山市のほぼ中間に位置し、せとうちの穏やかな海と小高い山に抱かれた独特の景観を持つ尾道は、古くから文人墨客に愛され、多くの映画の舞台にも選ばれるなど、時代を越えて文化を育んできました。また、海運による物流の集散地として機能し、明治時代には山陽鉄道が開通し鉄道と海運の接点となったことから、永きにわたり広島県東部で最大の都市として繁栄しました。文化と商業が交差する尾道には、大橋でつなぐ瀬戸内の美しい島々の明るく開放的な風景とともに、建物が密集する急な山肌の独特な景観もあり、様々な風景を一度に味わえる魅力的なエリアとして知られています。

今回の記事では、しまなみ海道を利用して向島(むかいしま)、因島(いんのしま)、生口島(いくちじま)を巡るサイクリング。宿泊は、2014年3月にオープンしたばかりの日本初のサイクリスト向け複合施設「ONOMICHI U2(オノミチ ユーツー)」でホテルを利用し、翌日はノスタルジックな町並みの残る尾道市街地の散策を。地元在住の地域スペシャリストが美食をキーワードにおすすめスポットをご案内しますので、ぜひご覧ください。
(画像クリックで拡大します)


ONOMICHI U2を起点にしまなみ海道へ

海外のサイクリストからも注目されるサイクリングロード「瀬戸内しまなみ海道(広島県尾道市~愛媛県今治市)」の本州側起点、尾道に、日本初のサイクリスト向け複合施設ONOMICHI U2(オノミチ ユーツー)が2014年3月にオープン。今日のサイクリングは、尾道駅からもすぐのこちらからスタートします。

自転車に乗ったまま購入できる、デッキに面したサイクルスルーカウンターでデトックス効果のあるグリーンスムージーを購入。小松菜やパイナップル、生姜、レモン入り♪

こちらの「Yard Cafe」では、アメリカ シネッソ社製マシーンで淹れる、オリジナルブレンドや瀬戸内の小規模ロースターの豆から選べるコーヒー、瀬戸田レモンをはじめとする瀬戸内の野菜や果物を使ったフレッシュジュースなど、一息ついて元気をチャージするメニューを多数揃える。サイクルスルーでは、サイクリストに向けたボトルウォーターチャージのほか、エナジーバーやオリジナルサンドウィッチなどを用意。大規模な駅前港湾駐車場も隣接するので、サイクリングの出発地として仲間で集合するのも良い。


海に面したデッキのチェアで、潮風を感じながら過ごすひとときは格別。


ホテルに荷物を預けてサイクリングへ。今回のサイクリングでは、対岸の向島へは渡船を利用、次に因島大橋を通って因島へ入り、生口橋を通って生口島へいうルートを計画しました。復路は生口島からは尾道行きの船を利用しての、初心者向け定番コースです。


フォールディングバイクのTernは手軽に折りたたんで輪行できるが、ここONOMICHI U2では自転車の受取・発送サービスも行っているので、しまなみ海道サイクリングの起点に利用する手はない。今回の旅のお供は、都会の移動と保管に最適なシティーコミューターとして人気のLinkシリーズより、その中でも乗り心地を追求し日本人の体格にマッチするサイジングで長年愛されたN8をチョイス。デザインやスペックを一新し、より快適さと都会的な印象へと生まれ変わった2016年モデルが早くもお披露目。BioLogicのHoldAll Basketも装着。


尾道を舞台としたドラマや映画に必ず登場するのが、尾道市街と尾道水道を挟んだ向島を結ぶ連絡船「尾道渡船」。複数の航路が運行されており、待ち時間も少なく料金も安いのでふらっといつでも利用できます。今回は利用していませんが、尾道水道の美しい風景の中で海上散歩を楽しめるクルーズ船もあります。港町・尾道の歴史や街並みをのんびり眺め、しまなみ海道新尾道大橋をくぐったり、尾道造船の巨大な新造船を間近で見られるのはクルージングならでは。千光寺山ロープウェイとセットになったお得なセット券も販売されており、海から、空から、尾道が楽しめるそう。次回はゆっくり尾道に滞在したいですね。




新尾道大橋には自転車・歩行者動が無く、尾道大橋は自動車の交通量が多く危険なため、尾道市街から対岸の向島への自転車でのアクセスには、渡船の利用が推奨されている。わざわざ橋の上まで坂を上らなくてもすぐに渡れるので、こちらの方が便利だ。日本一短い船旅で対岸の向島へ。


穏やかな尾道水道を渡り向島へ。

坂の街「尾道」の風景を楽しむスポットのひとつが、対岸となるこの向島(むかいしま)。尾道駅から千光寺までの印象的な町並みを、ゆったり静かに味わうことができます。透明度の高い海に青い空。ロープウェイの行き交う様子を眺めながら、今日のサイクリングコースを想像してワクワク。


渡船乗り場からすぐそばの海岸。人懐っこい島のおじさんが、夜の景色もいいよと教えてくれた。


渡船乗り場のすぐそばには、尾道出身の大林宣彦監督の作品「あした」で登場した「浜の待合所」のロケセットのバス待合所もあり、観光スポットとなっています。




映画「あした」は、大林宣彦監督の新尾道3部作の第2作目で、死者からのメッセージを受け取った、残された家族や恋人たちの別れと“あした"への旅立ちを描いた人間ドラマ。待合室には、映画に登場後、保存が検討されながら2000年8月の水没により解体される運命となった船「呼子丸」の部品などが展示されている。


内部もレトロな雰囲気そのもので単純に可愛い。セットの中で映画のワンシーンに浸ってみるのも楽しいもの。


待合所の中には当時のロケ現場の呼子浜の写真や、架空の「御調島」が描かれた地図など興味深い資料が展示されている。


しまなみ海道サイクリングロード推奨ルートに整備されているブルーライン沿いにサイクリング。瀬戸内の穏やかな波と、点在する島々の風景が気持ちいい。

ブルーラインの青色は、しまなみ海道を象徴する色として「しまなみブルー」が採用されている。細かな粒状の突起により滑り止め効果のある舗装がされており、通常の道路区画線と比べ,濡れた状態でも非常に滑りにくくなっている。推奨ルートが分かりやすく案内されていることに加え、車道を走行する自転車利用者に対し左側走行を促すとともに、自動車運転者に対して自転車への注意を喚起してくれる。


サイクリングロードには自転車道休憩所も整備されている。夏場は特に脱水症の危険もあるので、こまめな水分の補給や、補給食を携行するなど注意を。特に初心者は時々休憩を挟んで、美しい景色を楽しめる余裕をもった計画を立てる。


途中、美しい景気に見とれて、何度も自転車を止めて立ち止まりました。せとうちの穏やかな気候に包まれながら、自分のペースでサイクリングを楽しめるのは、しまなみ海道ならでは!



自転車道休憩所から望む因島大橋。向島から因島に渡る際に通る、しまなみ海道で唯一、自動車道の下に自転車・歩行者道がある橋です。




緑豊かな山々と穏やかな海が美しい景観を織りなす因島へ。

因島大橋で海峡を越えて因島へ。橋は2層構造になっていて、自転車や歩行者は下の部分を通行できます。




幅約800mの布刈瀬戸と呼ばれるこの海峡は、瀬戸内海における主要航路である来島海峡の副航路として1日あたり400隻の大型船舶が通行するため、桁下を50mと設定された。これを実現するため長大橋とすることになり、当時国内最大級の吊り橋が架けられることになった。桁はトラス構造の補剛桁で2層式であり、上が車道で下であるトラス内部に幅員4mほどの自転車歩行者道を併設している。ここで確立した技術が、のちの大鳴門橋や瀬戸大橋・来島海峡大橋・明石海峡大橋などの吊り橋架橋に活かされたことでも有名。(写真:Creative Commons)


因島大橋を背景に、可愛らしい白亜の灯台が。しまなみ海道因島大橋がかかる海峡(布刈瀬戸)には古くから交通の要所として数多くの船舶が行き来しており、その海峡を航行する船の安全を守るため1894年から点灯され現在まで活躍している大浜埼灯台です。








灯台のそばに建つ、3つの塔が象徴的な建物は灯台記念館(旧大浜埼船舶通航潮流信号所)。船に潮流の情報などをを知らせるため1910年に建築されたもので、土木学会選出の選奨土木遺産、広島県指定重要文化財などに選定されている。


灯台の足元にはプライベートビーチの様な小さな砂浜が。しまなみの島々には、狭い水路で連結された複雑な構造を持つ瀬戸内海らしい、こういった風景が広がります。昔から変わらない瀬戸内の美しい景色と、日本が世界に誇る橋梁技術とのコントラストのある風景も、またいいですね。




橋のたもとには因島大橋記念公園も。橋の完成を記念して造られた公園で、広々とした美しい芝生や野外ステージが整備されている。


公園敷地内にははっさく大福の「はっさく屋」も。(取材はしていませんが)感動的な美味しさでした。特に、大福が好きな方には絶対にオススメです。尾道の特産品である八朔は因島が発祥と言われています。


柑橘類と観光スポットの宝庫、生口島へ。

因島を経ていよいよ生口島(いくちじま)へ。平山郁夫美術館や耕三寺、野外彫刻作品が点在する島ごと美術館など、歴史と文化の香りにあふれている、観光スポットの多い島です。瀬戸内しまなみ海道の通る6つの島のうちほぼ中央に位置する島で、隣の高根島との間の生口瀬戸に古くから栄えた港、瀬戸田が広く知られていおり、瀬戸田が島の代名詞にもなっています。また生口島は、国産レモン発祥の地、レモン生産量日本一であり、全国有数の柑橘類の産地となっています。

生口島へは、車道の両外側に自転車歩行者道が整備された生口橋を利用します。鳥が羽を広げたような美しい斜張橋は、自転車で走ると更に気持ちがいい!




島内の一般道と、しまなみ海道の各橋梁との間には、専用の自転車道(自動二輪との併用区間あり)が用意されている。橋の高さまで上るのは一見大変そうだが、比較的緩やかな勾配で整備されているため、初心者でも問題ない。



生口島でまず最初に立ち寄ったのは、ジェラート専門店 ドルチェの瀬戸田本店。昼ご飯前ですが、しまなみのサイクリストにはあまりにも有名な同店を素通りするわけにはいきません。


目印はこの看板!生口橋から海岸沿いの道で瀬戸田へ向かうちょうど中央に位置する。


今回は1番人気の、瀬戸田のレモンと伯方の塩ジェラートのダブルを購入。


すぐ前に海の見えるウッドデッキでしばし休憩。ジェラートは瀬戸内でとれる柑橘類を中心に、保存料などを一切使わず天然素材で作られる。人気は伯方の塩、瀬戸田のデコみかん、尾道の桃などの定番以外に、季節限定のメニューもオススメ!


そしてお待ちかねの昼食の時間。こちらは、平山郁夫美術館のすぐ近くにある、「日本料理 まきの」。地元の人々のみならず、海外からの観光客を案内するガイドさんからも一目置かれる名店です。



地元の食材、旬の食材にこだわった料理はどれもオススメ。大将にお願いをして"特製レモンのグラタン"試食をさせていただいた。


今回いただいた「箱御前」は、そんな食材にこだわった料理を色々な料理法で堪能できるメニュー。








撮影の途中で大将から差し入れ。尾道の柑橘を絞った、フレッシュジュース。


苺のデザート。ご主人の遊び心による、ひな祭りの時期に合わせた飾り付けが素敵。


こちらは鉄なべ鯛めし。別名、「せとうちのビビンバ」と呼ばれているそう。


鯛の身と卵をご飯と混ぜて食べると…他では味わえない美味しさが広がる!


食後のドリンクは、瀬戸田のレモンを使ったフレッシュレモンソーダを。レモンのある時だけオーダーできる、実は裏メニューです。




瀬戸田町は、国内のレモン総生産の約35%を誇る生産量。ハチミツを入れていただきます。レモンの収穫期は10月〜5月頃。香りの強いグリーン色の実は10月〜12月、それ以降は鮮やかな黄色い色に変わる。


まきので美味しい料理をいただいて、瀬戸田の町並み散策へ。瀬戸田は古くから塩田が開発されるなど、瀬戸内海の交通の要衝として栄えてきた町で、この辺りには平山郁夫美術館や「西の日光」とも呼ばれる耕三寺、朱塗りの美しい三重塔(国宝)のある向上寺といった観光スポットも多く集まります。


瀬戸田町出身の日本画家・平山郁夫の子供時代の作品やシルクロードの大作などを展示する、平山郁夫美術館。幼少年期や青年期の作品によって、故郷・生口島の風土がいかに画家の感性に影響を与えたか、いかにして画家になったかが分かる。その他、作品制作の上で重要な一過程で本画と同じ大きさで作られる最終的な下絵-大下図-の展示も見どころ。


もと実業家の金本耕三氏が出家し、母の菩提寺として建立した寺。堂塔はいろいろな国宝建造物を手本として建てられ、内15棟は国登録有形文化財に登録されている。寺の境内一帯を博物館として公開、境内の各展示館には仏教・茶道・近代美術の名品を展示している。現代美術の大理石庭園「未来心の丘」は必見。


古きよき面影を残す「しおまち商店街」へ。瀬戸田港から耕三寺まで約600メートルの参道に立ち並ぶ53店舗で構成された商店街で、正式名称は「せとだ本町商店街協同組合」といいます。ゆったりと時間の流れる商店街には、メディアでお馴染みの有名店も。





しおまち商店街にある、お肉屋さんがしているコロッケ屋さん「岡哲商店」。美味しさもさることながら、その店構えにもびっくり。おばあちゃんも素敵!



夕暮れ。800mにもわたる白い砂浜と澄んだ青い海で、中国地方屈指の海水浴場「瀬戸田サンセットビーチ」へ。名前の通り夕日スポットとして知られているので、時間に合わせて訪れました。自分の自転車だと、時間を気にせず思う存分楽しめますね。復路は瀬戸田港から尾道行きの船に乗って戻るとします。しまなみ海道のサイクリングでは「しまなみ縦走」など長距離をサイクリングするイメージがありますが、島の多いこの地域では都心のバスのごとく様々な航路が張り巡らされていますので、町の散策を取り入れた気楽なサイクリングもオススメです。

夕日を見ながら浜辺を歩くなんて何年振りかな、なんて考えながら、今日のサイクリングを締めくくります。




日本初のサイクリスト向け複合施設 ONOMICHI U2 にチェックイン。

束の間の船旅を終え、波の揺れの余韻に浸りながら今日の宿、ONOMICHI U2に到着。こちらはそのホテルロビーへの入口前。倉庫のクールさを残しながら、スタイリッシュにリノベーションされています。


施設のリノベーションには、建築・内装設計のほか、U2ロゴをはじめとするサインひとつひとつにまで、様々なクリエイターが関わっている。


独自の「PixCell=Pixel(画素)+Cell(細胞・器)」という概念を機軸に、多様な表現を展開する名和晃平氏が監修を務めるULTRA SANDWICH PROJECTが手がけたエントランスの作品「Molecular Cycle」。よく見ると、自転車レースのゴールシーンで両手を挙げる選手の様。


ONOMICHI U2内のホテルHOTEL CYCLEが「日本初のサイクリスト向け複合施設」といわれる最大の特徴は、自転車に乗ったままチェックインでき、部屋に自転車を持ち込んで宿泊できる点。ロードバイクでも分解せずにそのまま押して部屋に持ち込めるので、煩わしい作業が発生しません。高級感のある施設内でも気兼ねなくサイクルジャージのまま入れます。


こちらでは自転車の受取・発送サービスも行っているので、輪行に不慣れな方でも気軽に自分の自転車を持ち込める。ロビー近くのスペースにはバイクラックやメンテナンススタンドも設置されており、ペアスペース(工具レンタルあり)で整備をすることも可能。また、施設内のサイクルショップでもプロによりメンテナンスを受けられる。


HOTEL CYCLEが目指すもの、それは「時間の流れ」「循環」そして「自転車」。リラックスした時間を過ごせるよう自然素材を内装に用いた客室やロビーには、この土地の伝統産業を素材に活用した家具やこだわりのアメニティが用意されています。

(写真:ONOMICHI U2広報用写真)


(写真:ONOMICHI U2広報用写真)


バイクはそのまま部屋に持ち込めるが、数秒のことなので折りたたんで持ち込んだ。


HOTEL CYCLEは全室バスタブ付のお部屋となっている。バスルームに備え付けられている今治タオルはフカフカして、とっても肌触りがいい。(写真:ONOMICHI U2広報用写真)

サイクリングの心地よい汗をさっぱり流して、夕食までのひと時をゆっくり休憩。窓の外、尾道水道を往来する船の汽笛が心地いい。


1日走ってきた身体が心身共にリラックスできるよう、間接照明を使用。モダンで落ち着ける部屋となっている。


フォールディングバイクのTernは小さく折りたためるので、自宅や職場などどこにでも置けるのも特徴のひとつ。


自転車は、全室持ち込み可能で、一部客室を除きドロップハンドルとステムを利用したサイクルハンガーが設置されている。(写真:ONOMICHI U2広報用写真)


しまなみサイクリングの余韻に酔いしれながら夕食を。

夕食は、地元の魚介類や柑橘を中心とした食材の料理が楽しめる「The Restaurant」で。今回は下の料理の数々をいただきました。


地蛸のレモンマリネと地の有機野菜のバーニャカウダ。


ジャコのシーザーサラダ。


地穴子の丸ごと一本フリット。


瀬戸田産塩レモンのピッツァ。


そのまま食べてもOKだが、蜂蜜とも合う。


生スパゲティ ブイヤベース。


夕食のあとはカウンターバーに席を移して、サイクリングの途中で撮った風景写真を見直したり、明日の散策のルートをチェックしたり。無線LANもあるので便利ですね。


2日目はONOMICHI U2を起点に市街地観光へ。

翌日はあいにくの雨模様。せっかくの「坂の町」尾道なので、歩いて町並み散策をすることにしましょう。ノスタルジックな建築の残る尾道市街地は、JR尾道駅にも近いここONOMICHI U2から十分徒歩で散策できる範囲です。

昨夜飲んだ、カウンターバー「KOG BAR」越しに見える、どんより暗い尾道水道。これはこれで情緒ある町並み風景に出逢えそう。




KOG BARのカウンターにはペダル&サドルのついた「コグチェア」が設置されていて、ペダルを漕ぎながら大きな窓越しに広がる尾道水道の夜景を楽しむことも。この遊び心のあるバーでは、豊富に取り揃えたワイン&シャンパンをはじめとしたドリンクを楽しむことができる。(写真 下:ONOMICHI U2広報用写真)


U2での朝食は、ベーカリーで焼き上げられたばかりのパン、地元の野菜を揃えたサラダなどをブッフェ形式でしっかりと。







地元の新鮮な野菜や果物をふんだんに使った身体を整えるメニューは、健康に気遣う方にも、しっかり食べたい方にもオススメ。


ハムやソーセージとあわせて、調理方法や焼き加減を指定できる卵料理は対面式キッチンで作られて席まで運ばれてくる。ヘルシーな朝食はサイクリストにも好評。


広島弁で「とても」を意味する「ぶち」から名付けられたベーカリー「Butti Bakery」。こだわりの粉と天然酵母“ルヴァン種”を使用。麦の味わいと、サクッとした食感が最大の特徴。(写真:ONOMICHI U2広報用写真)


瀬戸内の恵みの食品やオリジナルウエアを扱うライフスタイルショップ「U2 shima SHOP」。ここでは、瀬戸内に暮らす価値を実際の生活からひも解き、暮らしの楽しみ方を発見・発信し、瀬戸内の日常をより豊かにする、暮らしに寄り添う雑貨や観葉植物、本などを多数取り揃えている。(写真:ONOMICHI U2広報用写真)


尾道らしい町並みを探して山手方面へ。

尾道の町並みは、商店街が延びる海側と神社仏閣や瓦屋根の古民家がひしめく山側に分かれて広がっています。どちらも昔懐かしい温かな雰囲気を帯びていて、訪れた人々の心をぐっと引き込みます。今日は降ったり止んだりのあいにくの天気ですが、尾道の玄関口、JR尾道駅から歩いて町並み散策に出掛けましょう。


東京、大阪方面からの鉄道での尾道入りは、市街地から少し離れた新尾道駅まで新幹線を利用するよりも、福山駅で本数の多い在来線に乗り換えて尾道駅まで来る方がスムーズ。ONOMICHI U2も徒歩数分の距離で、町の散策も駅からすぐ。駅には観光案内所や尾道ラーメン屋のほか、輪行で持ってきたロードバイクを組み立てるスペースまで用意されている。


駅から歩き出してすぐに目に留まったのは小さなお店「おやつとやまねこ」。やまねこ印の「尾道プリン」が人気のお店です。


風味豊かな砂谷(さごたに)牛乳や、地元の新鮮な卵でつくるプリンが好評。瀬戸田レモンシロップをかけると、ひと味違った美味しさも味わえる。スコーン、クッキーなどの焼き菓子も販売。


尾道には今も古い町の空気と、住宅が密集する急な山肌の独特の景観が残されており、魅力的な景観が広がっています。



尾道は、「坂の街」「文学の街」「映画の街」として全国的に有名である。文学では林芙美子、志賀直哉などが居を構え、尾道を舞台とした作品を発表した。映画では小津安二郎監督の「東京物語」が尾道で撮影され、大林宣彦監督の「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」は『尾道三部作』として、また「ふたり」「あした」「あの、夏の日」は『新尾道三部作』としてこの町を有名にした。近年はアニメの舞台にもよく使われている。


駅からすぐの坂を上って、まずは持光寺へ。ロケを行った2月下旬は、ちょうど梅が見頃になっていました。潮待ちの港、北前船の寄港地として栄えた尾道には、海運に携わる豪商たちの寄進により、驚くほど多くのお寺が建てられたことから、様々なお寺を巡る、情緒あふれる石畳や坂道を繋いだ「古寺めぐりコース」も整備されています。






「坂を振り返れば海がある」。山側から海側を見下ろす風景も通りによって様々。素敵な風景に出逢えると思うと、急な坂や階段の上り下りも楽しい。


尾道の町並みを語る上で、細くて急な坂道や階段とともに思い出されるのは、線路や踏切。そして商店街から山の方向、海の方向にそれぞれ抜ける路地。路地を通して見える、山肌の風景や海岸も、多くの写真ファンを引きつけるスポットとなっています。





そろそろお腹がすいたので、お昼ご飯に向かいましょう。尾道で忘れてはならないのが「尾道ラーメン」。今回はこちら「尾道ラーメン 喰海」にお邪魔しました。



ラーメンを注文し、先にドリンクをいただきます。喰海では、向島にある、昭和5年創業の昔ながらの瓶入りジュースを製造している「後藤鉱泉所」の各種ジュースを取り揃えています。



後藤鉱泉所では、今日まで変わらないリサイクル瓶(今では貴重!)を使用しており、昔懐かしい味にこだわっている。


喰海の麺は、広島県産の小麦を使った、尾道ラーメンには珍しい細麺。そして、瀬戸内の小魚から煮出した魚系スープと、とんこつ、鶏がら、野菜等から煮出した動物系のスープのダブルスープを絶妙なバランスで配合して豚の背脂を浮かべ、さっぱりとした中にの旨みがギュッと凝縮されたスープ。麺とスープの絡み具合が最高の喰海のラーメンは、完全無農薬栽培の自家製ネギなど材料にもこだわっている。


「海の見えるラーメン店」がキャッチフレーズでもある同店。海側に向いたカウンターで食べるのも美味しそう。


小さな小さなパン工場へ至る情緒豊かな坂道を楽しみながら。

尾道の山肌には無数の細い通りがあり、そのそれぞれが情緒ある風景を抱えています。午後の最初の目的地は古い古民家を再生した「ネコノテパン工場」。坂の途中、車が入れない場所にひっそりとたたずむ、小さな小さなパン工場兼お店です。

大林宣彦監督作品「転校生」の中で、斉藤一美役の小林聡美さんが自転車で一気に駆け上が­るシーンに登場した陸橋。






可愛らしい案内板を目印に進む。


店内は、大人1人分のスペースのため、先客がおられたら外で待ちます。







窓からは実際にパンを作っている姿をみることができます。子どもも興味津々で見入っていました。



引き戸を開けて店内へ入ると香ばしい焼きたてのパンが待っています。訪れる時間やタイミングによって、パンの品揃えや、数も違ってきます。




写っていないが、下の引き出しの中にはビスコッティも。



パンを買って、また路地散策へ。目的なく思い思いに歩いてみるのもいいものです。





また線路まで下りてきました。



海岸と平行して延びる商店街にも可愛らしいお店がいっぱい。このロケの日は定休日のお店が多かったので残念でしたが、こちらは銭湯「大和湯」を改装してつくられたカフェ「ゆーゆー」。


海沿いに東西1.6km延びる尾道本通商店街は、芙美子通り、おまつり通り、絵のまち通り、尾道通りから構成される、歩きがいがあって収穫も多い場所。近年お洒落な店が次々とオープンしており活気があるので、ゆっくり時間のとれる旅ではこちらの散策もオススメ。


尾道のランドマーク、千光寺山ロープウェイからの絶景、そして猫の細道へ。

山手を散策しては海岸沿いに戻ったり。行ったり来たりを楽しんで、3度目となる山手散策ではまずワンランク上の宿の紹介から。尾道の坂や階段は、どこを切り取っても絵になるそれぞれの表情があります。


アースカラーのモルタル洗い出しの外壁、玄関横のモダンな円窓、2階バルコニーのアーチ型の支柱など擬洋風建築の意匠が随所に凝らされた、1931年(昭和6年)建築の島居邸洋館。外観は当時の面影を残しながら、内装は新しい空間へと生まれ変わり、宿となったそう。町家として生まれ変わった家に暮らすように滞在し、せとうちの美しさや魅力を直に感じ、伝統工芸の品、備後絣や備後畳表に触れながらラグジュアリーに憩うのも良さそうです。



古い町の空気を随所に残す尾道には、歴史ある建物が数多く残されている。その建物を気鋭の建築家や日本を代表する建築家に、新しい息吹を吹き込んでもらい町家としての再生を行っているのが「せとうち 湊のやど」プロジェクトだ。「ONOMICHI U2」やこの「せとうち 湊のやど」を含め、尾道では町の魅力を掘り起こし再生させる取り組みが加速している。今回の記事のモデルさんは実は、そういったプロジェクトを多数手がけている企業で働いている。


尾道の散策には、ロープウェイで千光寺山にのぼり、箱庭のような町を一望するのが定番中の定番。3分間の空中散歩で、車窓の風景は艮神社の大楠や天寧寺の三重塔、千光寺や瀬戸内の島々などと次々に移り変わっていきます。





ポンポン岩にやって来ました。ここからの風景は格別!天気のいい日なら青い空と青い海、そして夜景も素晴らしい様です。


千光寺山にある名勝「鼓岩」。石でたたくと「ポンポン」と鳴ることから地元っ子の間では「ポンポン岩」と呼ばれる。ここから尾道水道も一望できる。

こちらが有名な天寧寺の・・・

尾道のシンボル的存在、天寧寺の三重塔(別名海雲塔)。その名のとおり三重塔のバックに見える海と空は格別。現在の三重塔は、五重塔の傷みの激しい上二重を取り払って三重に改造したもので、元々は五重塔だった。しだれ桜と牡丹のスポットとしても有名な寺。


あれ、猫がやって来ました(笑)。このすぐ先から「猫の細道」が始まります。

尾道にはたくさんの猫が住んでいます。迷路の様に細く張り巡らされた坂道を歩いていると、いつの間にか自分自身が猫になった様な感覚に。


「猫の細道」は招き猫美術館から天寧寺三重塔にかけて続く約200mの細い路地。作家の園山春二先生が生み出した「福石猫」を1998年よりこの路地に置きはじめ、この愛称で呼ばれるようになりました。また周辺には空き家を再生した隠れ家的なお店や美術館もたくさん点在しているので、猫の気分でそぞろ歩きを楽しむのも良し。


猫が描かれた福石猫があちこちに。なでると願いが叶ったり、厄よけになるそう。






「猫の細道」を歩いていると、大正時代の民家を改造して作ったネコの額ほどの美術館「招き猫美術館」が。1階には招き猫神社、2階には全国から集められた約3,000体の招き猫コレクションの展示をしているそう。どこを見てもネコ、ネコ、ネコ尽くし。ネコ好きにはたまらないスポットです。






「招き猫美術館」のコレクションの中には江戸時代の珍しいものも。招き猫の上げる手には意味があり、係の人も丁寧に教えてくれる。


今回の山手散策はこれで終わり。海側にもまだまだ面白いスポットがあるので向かいます。





尾道での新しいプロジェクトと、古き良き昭和の雰囲気がそのままに残された路地の探索。

海岸沿いの商店街へ戻り、尾道デニムプロジェクトの取材に。実は世界でも有数のデニムの産地である備後地方。世界的な有名ブランドも備後のデニム生地を使うほど、そのクオリティは世界最高レベル。そこで、備後地方の繊維業、日本のものづくりの価値を受け継ぎ、尾道の魅力を日本全国、世界へ発信するために2013年にスタートしたプロジェクトだそう。




プロジェクトの第1弾は、備後の職人が魂を込めて作り上げたデニムを尾道のリアルワーカー270人それぞれに2本ずつ渡し、週ごとのローテーションで穿いてもらい、1本たりとも同じ物は存在しない540本の個性溢れるデニムを、本物のUSEDデニムとして販売するというもの。住職、農家、漁師、繊維業、大工、左官、大学生、保育士、デザイナー、カフェ店員、ラーメン屋、スウィーツショップ店員、飲食業など、世代を越えた様々なワーカー270人が参加している。


1人に2本ずつ渡しているデニムは、1週毎に1本を穿き、毎週 「回収・配布」 → 「洗う」 → 「穿く」を交互に繰り返す工程を1年間続ける。回収したデニムは、島根県の専門の職人によって洗いをかける。それも色落ちの進行具合や状態によって、洗い方を変えている。穿き込む人と洗いの技術によって、程よい色落ちが醸し出す自然な風合い、加工では出せない“本物”の色落ちを追求したのがONOMICHI DENIMの最大の特徴だが、その特徴を、家庭での洗濯でも最大限出せるようにONOMICHI DENIM推奨の洗い方、デニム専用洗剤をパッケージ化したスターターキットも用意している。NEWデニム1本と併せてキットを購入すると、ONOMICHI DENIM PROJECTに参加でき、目利きのプロの査定後、ONOMICHI DENIM SHOPで委託販売もできる。




スタッフの濱野さんは、このプロジェクトを知って、神奈川県から尾道に移住してきた。




商店街に点在する素敵な店に足を止めるのも楽しいが、ところどころに見え隠れする鳥居や古井戸、そして山手へ通じる階段など、路地の奥の風景を見ながら散策だけでも全く飽きない。尾道には魅力的な路地が無数にある。


歴史と趣のある歓楽街「新開(しんがい)地区」には古き良き昭和の雰囲気がそのままに残された路地や、グルメ通の間で有名な食事処も多いエリアです。深夜まで開いているラーメン屋さんや、行列ができる串カツ屋さんなど、隠れ家的なお店が多いので、路地を探索してお気に入りのお店を探してみてください。






ノスタルジックな町並みと、ONOMICHI U2をはじめとする現代的な建築。猫の額ほどに狭い範囲にぎゅっと凝縮された町と言われる尾道ですが、海岸通りも含め広い範囲を移動するなら自転車があった方が便利です。そんな時は、小回りのきく小径車のTernなら、とても相性が良さそうですね。今回は有名な観光スポットからディープなエリアまで駆け足で巡りましたが、尾道の魅力はまだまだ紹介しきれていません。古寺巡り、文学のこみち、夜景、美術館巡り、映画のロケ地巡り、四季の花々や祭り、旬の素材を生かした料理など、ぜひゆっくり滞在して、皆さんにとっての尾道を発見してみてください。尾道の町並みが琴線に触れる方はきっと多いはず。




今回の記事で使用した製品
 ♦ バイク : Tern Bicycles / Link N8(Color:White × Red(Gray)  ※2016年モデル)
 ♦ ヘルメット : LAS / VICTORY VENTO(Color:ブラック)


Link N8(リンク N8) ※2016年モデル
都会の移動と保管に最適なシティーコミューターとして人気のLinkシリーズ。その中でも乗り心地を追求し、日本人の体格にマッチするサイジングで長年愛されたN8。デザインやスペックを一新し、より快適さと都会的な印象へと生まれ変わりました。
8Speed
Wheel Size:20"
Weight:11.7kg
推奨身長:142-190cm
Seatpost to Handlebar:Min:590mm Max:630mm
Saddle to Pedal:Min:700mm Max:960mm
Folding Size:W79×H72×D38cm
Color:White × Red(Gray)、White × Gray(Blue)、Black × Red(Gray)
※泥よけが無償でセットされます
Color:White × Red(Gray)



参考Link:
 ONOMICHI U2
 大浜埼灯台
 はっさく大福 はっさく屋
 ジェラート専門店 ドルチェ
 平山郁夫美術館
 耕三寺
 おやつとやまねこ
 尾道ラーメン 喰海
 ネコノテパン工場
 せとうち 湊のやど
 尾道デニムプロジェクト

協力:株式会社ディスカバーリンクせとうち
モデル:トラベル事業部 ご担当者様


※この記事で紹介しているスポットや情報は2015年2月時点の取材に基づいています。
※ロケの都合上、記事と掲載写真が異なる部分があります。